インプラント治療の流れ

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インプラント治療の流れ
治療説明からインプラント埋入手術まで

初診時パノラマ レントゲン診断

インプラント治療を希望される患者さんには、通常の歯科治療を同様に主訴・現病歴・内科的既往歴・歯科的治療歴をお聞きし、現在のお口の中の問題点を模索していきます。

それでは、当院での一症例を通してインプラント治療の流れをご説明いたします。

パノラマレントゲン

パノラマレントゲン診断はお口全体の状態把握にとても有効な診断法です。この患者さんは左下奥歯が腫れて痛く動いているという主訴で来院されました。(赤丸の部分)

パノラマレントゲン診断

まずは、パノラマレントゲンでの問題点を抽出し、患者さんへご説明いたします。
こちらの症例は左下奥歯に歯根破折(歯の根が割れている)を認め、その他、虫歯や根尖病変、親知らずの存在などを認めます。このように歯科医院で一般的に撮影するパノラマレントゲン写真では様々なことがわかります。

初診時口腔内写真

当院ではインプラント治療だけではなく、お口の中全体に問題がある患者には治療開始前にお口の中の写真を撮影させていただいております。
我々が患者さんの治療計画を立案する際に、写真をじっくり観察すると問題点が見えてきます。また、患者さんへ実際に写真でご説明することにより、患者さんの理解度は深まります。

お口の中の模型

当院ではインプラント治療だけではなく、お口の中全体に問題がある患者には治療開始前にお口の中の模型を採らさせていただいております。
我々が患者さんの治療計画を立案する際に、模型をじっくり観察すると問題点や改善すべき点が見えてきます。また、患者さんへ実際に模型でご説明することにより、患者さんの理解度は深まります。

問題の歯のデンタルレントゲン写真と歯周ポケット測定

歯周ポケット測定

問題となっている歯(左下奥歯)のデンタルレントゲンと歯周ポケット測定値です。
デンタルレントゲン写真では赤丸で示している部分に透過像(黒く色が抜けている部分)を認めます。これは歯根の周りの骨が溶けている(骨が無くなっている)状況を示します。
また、歯周ポケット測定値は健康であれば3ミリ程度ですが、強い炎症がある歯は10ミリ以上の歯周ポケット値を認めます。この数値でも歯槽骨の吸収(歯根のまわりの骨が溶けている)を確認することができます。

問題の歯のCTレントゲン写真

CTレントゲン写真

パノラマレントゲンやデンタルレントゲンでの診断後、3次元的に問題のある歯を診るためにCTレントゲン写真を撮影します。 CTレントゲン写真は病変の大きさや骨幅、骨の高さ、骨質、下顎管や上顎洞の存在確認などを行います。インプラント治療においてはCTレントゲン写真による診断は安心安全インプラント治療を行ううえで必須項目となります。
赤丸では歯根周囲に大きな病巣を認めます。黄色い矢印で示す下顎管とは下顎骨の内部にある管状の組織のことで、その中を下歯槽動静脈という血管や、下歯槽神経という神経が通っています。下顎管を損傷してしまうと重篤な問題を起こしてしまいますので、下顎インプラント治療においては最も注意しておかなければなりません。

診断名:左下7番の歯根破折による根尖性歯周炎

治療目標:左下7番抜歯後インプラント治療に機能回復を図る

本症例の診断名は左下7番歯根は破折であり、残念ながら抜歯の対象となります。抜歯後失った部位を補うためには、入れ歯もしくはインプラントにて機能回復を図る必要があります。 患者さんにそれぞれの利点欠点をご説明し、インプラント治療にて機能回復を図ることを目標としました。
どのような理由で患歯を抜歯するする必要があり、失った歯を補うにはどのような治療法が賢明か目標を定めてご説明することで患者さんの理解が深まります。

歯根破折
左下7番を抜歯しました。→の部分で歯根破折を認めます。

CTレントゲン写真で骨の回復具合を確認

抜歯後は2か月に1度CTレントゲン写真で骨の回復具合を確認しました。
我々は、組織(歯茎や骨)の治癒(治り方)は非常に大切と考え、急がば回れではないですが、このように慎重に骨の回復を待ってインプラント埋入手術計画を立てるようにしております。

CTデータと模型を重ね合わせて埋入手術計画を行います

CTデータと模型を重ね合わせて埋入手術計画を行います

インプラント埋入手術計画はCTデータとお口の模型を重ね合わせて行います。
そうすることによって、インプラント治療をを計画している歯の位置関係を確認でき、噛み合わせの軸に合わせた埋入手術計画が可能となります。
また、埋入予定部位の骨幅や神経までの位置関係が把握でき安心安全な埋入手術の一助となります。(赤丸の部分)

患者さんとディスカッションして最終治療計画を決定

模型、シュミュレーションデータ、CT画像をもとに患者さんとディスカッションして最終治療計画を決定します。

インプラント埋入手術の流れ

インプラント埋入手術の流れ

治療計画が決定したら、同意書・承諾書の説明をし、埋入手術となります。 埋入手術は歯肉を少し切開して、予定しているインプラントサイズのドリルステップを行います。

埋入手術は10分程度で終了

埋入手術は10分程度で終了しました。患者さんは術前にしっかりと説明があったので安心して手術を受けることができたとおっしゃっていただきました。
術後の痛みや腫れはほとんどなく、翌日ら通常通りの生活を過ごしたとのことでした。

インプラント固定具合の確認

インプラントの固定具合を確認

インプラント埋入手術から2か月後にインプラントの固定具合を確認しました。(患者さんの骨の状態にもよりますが、上顎は約3か月後、下顎は約2か月後に固定具合の確認をします)

インプラントを利用した仮歯の装着

インプラントを利用した仮歯を装着

固定具合の確認から1週間後にインプラントを利用した仮歯を装着します。仮歯では機能させて骨との結合が失われないか、歯の大きさはOKか、歯磨きしやすい形態か、を確認します。
確認期間は2〜4週間程度としております。その後最終的な型どりをしてアバットメントと上部構造を完成させます。

セメント固定式用のアバットメント

アバットメントを装着着

セメント固定式用のアバットメントを装着しました。尚、アバットメントの材質はチタンです。

完成

セメント固定式の上部構造

セメント固定式の上部構造です。
インプラント埋入手術から3か月程度で治療を終了しました。

本症例は抜歯からスタートしているので患者は長い間頑張って通院くださいました。
また、快くインプラント治療説明での使用にご許可いただきましてありがとうございました。